ORIGINAL PRINT TIPS

2024.04.05

クラック (ひび割れ) プリントで
古着好きに刺さるアイテムをつくる

この記事を書いた人

SWEAT.jp 加工生産部

1児の母でありながら加工生産部の責任者として工場長としてスタッフをまとめるお姉さん的存在。シルクプリントや昇華加工を中心に、プリント加工の現場経験は誰にも負けません。工場の裏側を紹介していきます。

クラックってなに?
ひび割れ加工をあえて選ぶ理由は「古着感」

古いコンクリートの外壁がひび割れているのを見たことがありませんか?
あれをクラックと呼び、意味は「亀裂・ひび割れ」です。
そんなひび割れた外壁に似たシルクプリントのことを
「クラックプリント」といいます。
外壁は補修が必要ですが、プリントではおしゃれな特徴になります。

プリントのインクもコンクリートと同じように
長い時間が経てばひび割れを起こします。
愛用している中でインクの水分が減って乾燥し、ひび割れてくるものです。
しかしアパレルのアイテムは外壁と違い、その経年劣化をファッションとして活かします。
古着のプリントに起こっている掠れや割れはそのアイテムの「味」と言ってもいいでしょう。

クラックが映えるデザイン
プリントの面積が広い方が加工が目立ちます

ひび割れの加工は古着のプリントっぽくておしゃれですが注意点があります。
それは、「細かいデザインは向いていない」ということです。
加工することは可能ですが、細い線などはどうしてもひび割れが目立たず
面積の大きいプリントと比べると地味になりがちです。

目安としては、できるだけ10cm以上は幅のあるデザインにすることです。
古着で人気のカレッジ系のデザインは、インパクト重視のシンプルかつ太めなブロック体のものが多いので、クラックと相性が良いですね。

1枚1枚が少しずつ違う「味のある仕上がり」
割れ具合を楽しみましょう。

クラックプリントは生地や仕上げの仕方によって割れ方が変わります。
また、自然に割れるものなので、同じ商品にプリントしても1枚ずつ少し違います。
天然の木を生かした家具の木目や色味が1つずつ違うように
ひび割れの具合がそれぞれ違うのが普通のシルクプリントと違う特徴で面白いです。

上の写真のように、1つのプリントの中にも細かく割れたり大きかったりバラバラですよね。
クラックは最後の仕上げに加工の職人が生地を引っ張ることで割ります。
そのときの引っ張り方も仕上がりに影響するので、差が生まれるんですね。
なのでキャンバストートバッグなど伸縮性の低いものは、生地を引っ張ることができずクラックプリントができないこともあります。

クラックプリントは時間と手間をかけて
1枚ずつ職人がつくりあげます。

クラックプリントは、専用のインクとカラーインクを混ぜて作ります。
通常のプリントの版とは違い「厚版(あつはん)」と呼ばれる、インクがたくさん版から落ちる特殊なものを使用して、普段より厚めにインクを塗り、
乾燥させて自然にひび割れをさせるプリントとなっています。
また、通常のシルクプリントでは乾燥機を2往復させますが、クラックは4~5往復かけており、しっかりインクが乾燥して割れるように工夫しています。

しっかり乾燥させてインクの水分を飛ばすと、下の写真のようになります。
表面が夏の地面のようにカラカラになっているのがわかりますか?
この時点ですでに小さなひび割れが発生していますが
更に時間を置いたあと、職人が手作業で生地を引っ張ってキレイなひび割れを再現しています。

まとめ

今回はひび割れる特殊な加工「クラックプリント」について紹介しました。
アパレル商品の制作やヴィンテージ感のある仕上がりをご希望の場合は是非試してみてください。
SWEAT.jpでは他にも特殊なプリント方法をご用意しています。自分のオリジナルプリントを更に個性的にしてみてはいかがでしょうか。