
日本からドーハで乗り継ぎ、20時間かけて
ベルリンで開催されたアパレル向け捺染印刷の見本市FESPA(フェスパ)2025に
行ってきました。
ベルリン
ベルリン(Berlin)はドイツの首都でありヨーロッパカルチャーを牽引する街のひとつとして若者に人気の都市。
戦争により廃墟となった街をアーティストやミュージシャンが占拠したことで爆発的なクリエイティビティが生まれ街中の建物やあらゆる壁に描かれたグラフィティアートやテクノミュージックに代表されるクラブカルチャーが盛んなことでも有名です。
モダンな建築物と歴史を感じさせる博物館と
壁に描かれたグラフィティアートが共存する街
現在、ウクライナ情勢のため直行便が出ていないためドーハ経由のフライトで20時間かけてベルリンに到着しました。まずは重たい手荷物をホテルに預けるためベルリン市街地へ。
建物のデザイン、広い道、電線のない広い空、湿気の少ない澄んだ空気など日本とは全く違う雰囲気で長旅の疲れも忘れて軽快に歩けました。
とにかく建築物が美しく、広告物などがないので歴史の重みと言うか厳かな雰囲気。
よく環境に対する意識が日本は低く、ヨーロッパでは意識が高いという話を聞いていましたが納得というかこの街の美しさは素晴らしいと感じました。

電線も広告看板もなく、建物の高さ制限もあるようで空が広く感じるベルリンの街並み

アートが溢れる街ベルリンは分電盤などのちょっとしたスペースにはグラフィティアートが描き込まれています
ベルリンのマスコットとしても有名なキャラクターショップ
「アンペルマンショップ」に行ってみた
ホテルに向かう途中でドイツのお土産として有名な「アンペルマンショップ」を偶然見つけたので入店してみました。SWEAT.jpはこういったショップのグッズ製作、OEM受注やプリント加工などもお受けしているので海外に行くとその国のスーベニアショップ(お土産屋さん)に必ず足を運んで品質やデザイン、価格などを参考にしています。
Ampelmann Shop(アンペルマンショップ)
ベルリンの歩行者用信号のキャラクターとして有名なアンペルマンのグッズを扱い、市内に複数の店舗があります。
アンペルマンは1969年に旧東ドイツで生まれた歩行者用信号のキャラクターで、緑は歩き出すシルエットで「進め」を表し、赤は手を大きく広げたシルエットで「止まれ」を表しています。デザイン性も高くベルリンの定番のお土産として観光客に人気です。

Tシャツだけではなくパーカや靴下、カップやトートバッグ、変わったものだとベルリンの壁にロゴをペイントしたものまで

オブジェになぜか日本の信号機も!
アンペルマンの世界観がデザイン性高く表現されています。
ヨーロッパのお土産物屋さんのレベルは高かった
アンペルマンショップの世界観・デザイン性の高さに驚き
アンペルマンショップの世界観の表現の仕方・見せ方はスタイリッシュで印象に残りました。
商品のデザイン性はもちろんのこと、店内装飾や見せ方はグッズショップとしての完成度がすごく高くて
店員さんも私に英語で「Ampelmannのストーリーをご存知ですか?」と笑顔で話しかけてくれて優しく説明してくれ、ホスピタリティも素晴らしかったです。

日本のグッズTシャツはアメカジの影響を受けて首周りのリブが太く生地も厚めなのが多いのに対して、ヨーロッパでは真逆でリブは薄めで生地も肌触りのいい薄手の生地主体でスタイリッシュな印象を受けました
私が購入したのは上の写真の黒地に白のシルクプリント一色のTシャツ。
シンプルですが左裾に皮のタグがついていたりと上品で上質を感じさせるデザイン、価格は27.95ユーロ(日本円で4,500円くらい)。細かい所までこだわってるデザイン性を考えるとあまり高いという印象はなく納得感があります。単なる現地感のあるお土産Tシャツではなく普通におしゃれなTシャツとして普段遣いできそうです。
アンペルマンショップでは参考資料として、Tシャツ、トートバッグ、靴下、キーホルダー、ベルリンの壁を削った置物を購入しました。今後のお客さまのグッズをつくる際の商品開発に活かそうと思います。

今回の出張の本題「FESPA GLOBAL PRINT EXPO Berlin
(フェスパグローバルプリントエキスポ・ベルリン)」に行ってきました!
翌日、絶賛時差ボケの中、フェスパ グローバルプリントエキスポ・ベルリンに行ってきました!
FESPA(フェスパ)は毎年行われるアパレル向けの捺染プリント技術の見本市で最新のプリント機材などを見ることができる有名なイベントです。ちなみに空港の入国審査の時に色々と質問されるんですが「FESPAに行くために来た」と入場券を見せると「Oh FESPA!」と言われてすぐに通されました。
まだ日本では導入されていないプリント技術や生産性の向上が期待できる最新の技術を見学してSWEAT.jpの品質向上に役立てたいです。
FESPA(フェスパ)
1962年に設立されたFESPAはスクリーン印刷、デジタル印刷、テキスタイル印刷コミュニティの37国の協会からなる世界連合。
2026年はスペイン・バルセロナで開催予定。

メッセ・ベルリンという巨大展示会場。入口の見た目ではわからないですが、東京ビックサイトの3倍くらい広いです。

様々なプリント技術が大集結!
プリント機器の中心は依然としてDTF(ディー・ティー・エフ)!
展示されている機材の9割がDTFでした
DTF(Direct to Fim)と呼ばれるプリント技術は専用のフィルムにインクジェットに印刷し、そのフィルムを熱プレスで転写する印刷方法で、特徴としては
・従来の転写印刷よりも鮮やかなフルカラー表現が可能
・シルクプリントと違い版を作成する必要がないためコストを抑えて小ロット対応が可能
・綿、ポリエステル、ナイロンなど様々な素材に転写可能
・耐久性にも優れ、洗濯しても剥がれにくい
デメリットとしては、プリント機器が高額なこととフィルムなどの消耗品コストが高額ということ。
プリントの風合いとしては表面がツルリとしており通気性がないのでアパレルの加工というよりはマーキングという印象が強いです。特殊な色合いの表現(ラメや蛍光色など)が苦手で細かい線や点、輪郭のぼかし表現などが苦手という技術的な課題もありますが、
展示会では少しずつそういった部分の改善点が見られてキラキラとした箔プリントがDTFでできるフィルムが登場していたり、表現の幅が広がっているものなどが目立っていました。

とんでもなく大型のプリント機器も!
幅が広いということはそれだけ大きなものを出せたり、面付けして一気にプリントできるということ。
プリント機器を出店している各社のほとんどがDTFで何が違うのかわかりづらかったのですが、スピードが早い、ランニングコストが抑えられる、表現が精密、などなどそれぞれに細かく特徴が違いましたがとにかくDTFだらけで世界的にDTFが中心になっていくような雰囲気でした。

こんなに鮮やかなフルカラープリントを1枚から作れるのがDTFの魅力!
技術が進化しているのを肌で感じました
珍しい新技術を発見!
紫外線でインクが硬化する「UVプリント」の最新版がお披露目
UVプリントは現在の日本でも携帯ケースやアクリルキーホルダーなど、繊維ではない商品で活躍しているのですが、今回始めてトートバッグへのUVプリントができる機材を見ることができました。
特殊なインクでトートバッグにプリントして紫外線でインクを硬化していくのですが、何がいいかと言うと衣類プリントに必須であった「乾燥」という工程が要らないということ。
乾燥させなくてもそのまま出荷できるのであればかなりの簡略化・スピードアップになります!
これはかなり斬新な技術革新で効率化とコスト削減ができますが、現段階では一つ問題がありました。
それは「かなり匂いがある」ということ。
プリントされた表面に近づいてみると、なんというか独特な匂いがします。インクが硬化する過程で何らかの化学変化によって起こる現象なんでしょうが、この商品が数百枚置かれた部屋に居たら頭痛が起きそうなくらいの強い匂いです。
開発者に聞いてみると「匂いの出ないインクは開発しているよ! 何台買う?5台?」と陽気に説明されましたが真意のほどはわかりません。あと、このプリント機器も1台2000万くらいするので5台も買ったら1億です笑

布にプリントできるUVプリンターは初めて見たのですごく驚きました。あとインクの匂いにも驚きました
とにかく広い会場で歩き疲れましたが、たくさんのブースでそれぞれ主力のプリント機材を熱心にプレゼンしている熱気を感じていると、この業界の大きな可能性を感じました。
SWEAT.jpも新しい技術を柔軟に取り入れて品質も上げて、お客さまのオリジナルプリント作りをサポートしていかなければという使命感を感じたベルリンFESPAでした!

出店している韓国企業の方との食事
同じアジア人としてヨーロッパへの印象などをお聞きしました
その日の夜は取引先企業の紹介でFESPAにブースを出展していた韓国企業の方と食事に行きました。
ドイツビールで乾杯してさまざまな話をお聞きしました。
私よりも少し若く、世界を相手にビジネスを展開してる韓国企業の社長はとてもエネルギッシュ。
時差もあるので夜中でも連絡が来るし機材のメンテナンスや保守のため、土日も営業時間がなく昭和な働き方をしている彼らを見ていると日本でぬるま湯に浸かっていたら取り残されるなという危機感と仕事に対する情熱を感じて刺激を受けました。
あと、韓国の方は英語が上手なので自分の語学力のなさを反省しました。よくある空港の誓いというか英語もうちょっと勉強しないとなと思いました。

テーブルに乗らないくらい注文して思い出にのこるベルリンの夜となりました
まとめ
初めてのヨーロッパ出張でしたので何かと不安はあったのですが、とにかく不安がぶっ飛ぶくらいに景色がキレイで普通に見とれてしまいました。建築物の美しさや街作りへの意識も高く、環境問題に対して日本とは違って生活している人たちがちゃんと個々に意識しているのを感じました。
また、人が本当に優しくてサービス精神が旺盛でお店に入ると必ず「Hello」と笑顔で挨拶するのは日本にはない習慣だと思いましたし、私が帰りの空港で座って鼻をすすっていると眼の前のカップルの若い女性が「Do you want?」と言って笑顔で私にティッシュを差し出してくれました。
見過ごすことなく、優しく接してくれる国民性というか日本にはないコミュ力のようなものを感じて刺激を受けました。私が今度誰か困っているヨーロッパ人を見かけたら絶対に優しくします 笑
そういった細やかな気遣いやサービス精神などもスタッフに伝えていきSWEAT.jpの店舗サービスに活かしていけたらと思いました。
